剛柔流の特徴は、「南舟北馬」で知られる中国大陸での剛柔流発生の源の地である南舟といわれる地域的特徴を無視できない。北の騎馬民族に対して、河路、海路を舟によって生活している南の民族の舟を漕ぐ姿勢は、足舟底に根付き、その立ちは「三戦立」となったといわれている。 舟との一体化は足の裏が床から離れる事が少なく、動きは床を擢る様に移動する。その為、技は地から湧き出る如く操り出される。 円に基づく曲線動作が目立ち、独特の呼吸法「気息の呑吐」と併い、「ムチミ」と呼ばれる、粘りのある反動が錬られる。 「気息の呑吐」とは、後に「息吹」と称される腹式呼吸を意識的にコントロールし、呼吸力によって、身体を内面から鍛え、調整する方法であり、「基本型」、「三戦」、「転掌」によって実践する。 息吹の種類は、呼吸を表に現わし鍛錬として活用する陽息吹と内面に秘めて表に現さず、相手に測られない様に行う実戦法呼吸、陰息吹とに大きく分けられる。 鍛錬法の特徴としては「カキエ」と呼ばれる「小手鍛え」があり、「掛け」による円運動の中から相手との実際の動きを捉え、「ムチミ」となる技の重さを養う。この鍛錬法は、衝撃に対して、いかに負担を少なくして受け流し、動きの中から反撃に転じ、曲線を活かした部位の締め、相手の意識をも制御する融通無碍の動きを養うのに適し、「発力の抜き差し」、「力の逆利用」「気の流れ」を感知する。 剛柔流の教えは体力、技術の上達はもちろん、それらを通して気力、精神力を高めることにある。それは人としての人格の形成、向上をめざし強さの追求には「やさしさ」「おもいやり」「品位」とも培わねばならない。 流祖宮城長順先生の教訓は「人に打たれず、人打たず ことなきをもととするなり」の無事の哲学である。 |