[WKF選手写真]
期日:平成17年11月6日(日曜日)
開催場所:大阪府立体育館メインアリーナ
大会名:打撃ワールド'05
観戦者数:約1500人
主催:国際実践融合空手道 内田塾
記事報告者:原田圭一郎
放送予定:CS放送 GAORA
12月2日(金曜日)24時〜26時
12月3日(土曜日)26時〜28時
2月6日(火曜日)11時〜13時
2005年11月6日(日曜日)内田塾が活気的なイベントをまたやってくれた。 大阪府立体育館で行われた「打撃ワールド'05」である。このイベントは内田塾塾長内田順久が内田塾を設立してから今日まで基盤におき理想としている融合空手をうたったWKFとフルコンタクトルールの同時開催だ。お互いが得意な分野のブロックで勝敗を決め、決勝は2ラウンド制を採用。1ラウンド目をWKFルールで2ラウンド目をフルコンタクトルールで戦うと云うもの。これで1勝1分もしくは2勝すればその選手が初代グランドチャンピオンとして認定される。1勝1敗になればグローブルールにまでもつれ込み、最終決着をつける。現在では考えられないようなルールなのである。
WKFルールではロシアのグエルノフ(第17回世界大会+80kg優勝・'05ドイツワールドゲームス+80kg・オープン2階級優勝)イタリアのベネテッロ(第14回世界大会-80kg優勝・'05オープン・ド・パリ+80kg優勝)そしてフランスの英雄バルデー('98 '99 '00 オープン・ド・パリ+80kg優勝・秋田ワールドゲームス+80kg優勝)とアッパークラスの世界チャンピオンが出場。これに元ナショナルチームの日本選手が入る。
フルコンタクトルールでは内田塾の選手を始めとして友好関係にある広島の実践会館、京都の空我が参戦。それぞれのブロックで6名により1回戦を行い、その勝者3名が総当りでぶつかり一番勝率の高い選手がグランドチャンピオンへの挑戦権を与えられる。
まずはフルコンタクトブロックからは内田塾・山代康雅と実践会館・辻英辰の激突。本戦は引き分けなものの、延長では辻の手数が増し優勢勝ちを収める。第2試合、内田塾・山下敦央VS実践会館・瀧本健二の試合。山下は極真会館や白蓮会館の全日本・世界大会等で優・入賞している実力者。ここ2年ぐらいは浦谷(第4回JAPAN GAME優勝)野本(正道会館全日本中量級準優勝・第2.3.5回JAPAN GAME優勝)に次ぐ内田塾のホープ的存在。やはり一日の長がある山下の優勢勝ち。続いての第3試合は内田塾・長井英樹VS空我・三上玄高だ。長井は今年3月のラスベガスUSオープン(WKFルール)に出場、強豪を破り、3位入賞している。フルコンタクトルールでも極真会館主催の全関西大会等でも上位入賞を果たしている。今や内田塾の理想を体現しているエースである。空我の三上もトリッキーな動きで相手を翻弄させる技を持つテクニシャン。延長までいったものの最後は長井がつき離し、判定勝ちを収めた。 これでフルコンタクトブロックは辻(実践会館)、山下(内田塾)、長井(内田塾)による総当り戦になる。
つづく第4試合からはWKFルールでの決戦。世界チャンプの登場だ。セエディナ・バルデー(フランスナショナルチーム)と橋本憲治(松涛会)との試合、圧倒的圧力で前に出るバルデー。多彩な蹴り技で3本を取り圧勝。第5試合、今年のオープン・ド・パリ+80kg級チャンプ、ダビデ・ベネテッロVS中野翔五(和道会)との一戦、つめていく中野に対し相手を捌きながら上段に蹴りを決め3本。つづいて倒しては突き、中野がつめて来た所を自ら入り足払いから相手を死体にして3本。ベネテッロも相手に1本も与えず完勝。
第6試合はアレクサンドル・グエルノフ(ロシア)VS大田政彦(剛柔流)との対戦だ。ご存知のとおりグエルノフは、昨年の世界選手権+80kg級覇者。今年のワールドゲームスでは+80kgとオープンクラスの2階級優勝という現在WKFでは最強の称号を持つ怪物。大田は学生時代、関西学生個人戦も取った経験を持つ猛者である。試合開始、大田が積極的に前に出る。中段突きを1本取る、さらに前に出る大田。グエルノフが中段蹴りで2本を返す。それでも大田は後ろへさがらず前に出る。結局グエルノフがカウンター突きを2本取り、4−1で勝利になったものの大田の健闘が光った一戦だった。予想通りWKFブロックではバルデー、ベネテッロ、グエルノフの3選手が勝ち上がり3名による総当たり戦が決まった。
次に行われるのはフルコンタクトブロック3選手による三つ巴戦だ。山下VS辻の戦い。手数・足数が止まらない山下に対し辻がやや防戦ぎみだ。本戦3分は引き分けだったものの延長で終始優勢に攻めた山下が判定勝ちを収めた。つづいて辻VS長井の試合は疲れの残る辻に対し長井がたたみかけるように押し切るが辻も粘り延長戦へ。だが辻の頑張りもここまで。長井が胴廻し回転蹴りを辻の頭部へ決め技有りを取り完勝。
1勝ずつの勝ち星を持つ長井と山下がグランドチャンピオンへ進むキップをかけ競う事になった。本戦から両者まったくの互角。山下が出るが長井はうまく回り込み決定打を出させない。長井も回り込みながらの攻撃を山下のサイドから入れていく。お互いに手数・足数・そして気迫ともに同じで本戦・延長ともに時間は流れた。判定は引き分けで体重判定となり長井がグランドチャンピオンへのキップを手に入れた。
つづいてWKFブロック3選手による三つ巴戦。世界のトップ選手3名の試合がいよいよ始まる。まずはバルデーVSベネテッロ。開始早々、お互い激しい蹴りの攻防が続くが、前に出るのはバルデー。どんどん自分から攻撃を仕掛け、突きでポイントを重ねる。ベネテッロも突きでポイントを取り返すが、バルデーの見事な上段蹴りが決まり勝負あり。終始動きのよかったバルデーが7−4でベネテッロを下した。つづいてベネテッロVSグエルノフの戦い。まずポイントを取ったのはベネテッロ、しかしすぐさまグエルノフが中段蹴り、突きとポイントを重ねる。その後緊迫した間合いの駆け引きが続くがポイントで劣っているベネテッロが前に出る。中段蹴り、突きとポイントを重ね3−3のイーブン。緊迫した試合が続く。お互い一歩も譲らない攻防が続くが、グエルノフが中段蹴り、上段蹴りとポイントを重ねたところで時間切れ。8−3でグエルノフがベネテッロに勝利した。
バルデー、グエルノフともに勝っての直接対決。これで勝った方がグランドチャンピオンへのキップを手にする。試合開始と同時、まずはバルデーが中段蹴りにてポイントを取る。その後も前に前に出るバルデー。非常に動きがいい。それに対し、グエルノフはカウンターでポイントを取るが、待ちに回ってしまう感がある。その後も手を休めずどんどん前にでるバルデー。バルデーが攻めて、グエルノフがカウンターで返すという一進一退の攻防が続くが終始先に攻めていたバルデーが接戦をものにし、グランドチャンピオン決定戦への出場を決めた。これで決勝はWKFブロックの勝者、バルデーとフルコンタクトブロック勝者、長井との戦いとなった。
グェルノフVSバルデー バルデーの勝ち
決勝はWKF(1ラウンド)フルコンタクト(1ラウンド)を両者が戦い、総合判定により勝敗を決する特別ルールである。先にリングへ登場したのは長井、表情は非常に冷静である。バルデーはというと闘志満々だ。しかしバルデー、先のグエルノフ戦で古傷である 右肩を痛めた模様。何はともあれあと1試合で「打撃ワールド'05」のチャンピオンが決まる。双方、礼の後WKFルールのラウンドが始まった。先に仕掛けたのはバルデー、左の内回し蹴りを上段に飛ばすが長井がカットして不十分。その後左中段蹴りで2本を取る。長井も負けてはいない。右中段から右の上段に突きを決めて1本を取り返す。その後クリンチ状態からなんとバルデー内回し蹴りを放つが不十分。そして長井も前に出て行こうという姿勢は変わらない。が長井が少し止まった瞬間、強烈な後ろ回し蹴り。完全にフォロースルーがきいている。長井をK・O寸前まで追い込むような蹴りだが3本を奪取。続けざまに突き蹴りを決めたバルデーが9−1で勝利。後がない長井は第2ラウンドのフルコンタクトルールで判定勝ち以上を取らなければならない。
グランドチャンピョン戦WKFルールにて。バルデー長井選手に後ろ回し蹴りヒット!
最終ラウンドの始まり。バルデーの挨拶の仕方が変わりフルコンタクト式に十字を切る。一ファンとして見ているものにも奇妙に映る光景だ。始まりの太鼓と共にバルデーが速攻。同じ足でローからハイへつなげる。長井も仕切り直すがバルデーの突き・蹴りが圧倒している。クリンチからショートパンチをバルデーにあびせるがバルデーもさがらない。がここでアクシデント。バルデーの古傷の右肩をドクターがチェックする。フランス空手道連盟の中橋委員長もリングに上がり心配そうだ。数分間の時間をおき試合続行。続行後もバルデーのラッシュは止まらない。ここでタイムアップ、判定はバルデーに2本上がるも主審は引き分け。 結局トータルラウンドで1勝1分であるバルデーが長井を下し優勝を手にした。
バルデー選手の回し蹴り炸裂
感想を内田塾長に聞いてみた。「今回WKFからトップ選手に来てもらい、大変日本選手も勉強になったと思います。次回はフルコンタクトブロックの層をもっと厚くしてWKF選手を迎えたいですね。実を云うと決勝のルールはWKFのチャンピオン達には内緒にしてましてこちらへ来てから承諾してもらったんですよ(笑)本当、メチャクチャですね(笑)次回はもっと早くから動いてイベントを盛り上げていきますよ!次回の打撃シリーズに期待して下さい。」