可動性を形づくる要素の1つの敏捷性は、さらに細かく調整力(バランスも含める)とスピードと言う2つの要素に分かれて考えられる。この調整力の向上を狙って最も多く活用されるのが「ラダートレーニング」である。
ラダーとは梯子の意味だが、文字通り梯子状のトレーニング器具を地面に敷き、そのマス(升)の1つ1つをステップしていくことで、調整力を磨く。ステップは、1つのマスを1歩ずつ順次進んで行く最も基本的なスタイルから、サイドステップを取り入れたり、ステップに身体の捻りを加えたりするものなど、競技特性に応じて様々なバリエーションが活用されている。
先程触れたように、調整力の向上で重要なことは、自由に速く動くのではなく、ラダーのマス目が果たしている役割のように、動きに「枠」を設定したうえで速く動く事である。
その意味で、ラダーはトレーニング設定に都合の良い長さ、形状であるため、調整力のトレーニング器具として活用されている。
しかし、動きに「枠」を設定していくというポイントが押さえられていれば、ラダーがなくても、例えば、地面にラインを引いたり別の物を置いたりする事でも、調整力のトレーニング環境を設定していくことが可能である。
調整力養成のトレーニングと同じラダーを使い、動作も似たトレーニングになるが、ここではスピードの向上にプライオリティーがおかれている。その為に、調整力のトレーニングに比べ動作自体は単純な物が中心になり、その分速く動くことが求められる。
脚の回転の速さ、手の振りなど、動作を洗練していくフォームづくりも同時に進行していかなければならない。
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