アメリカ合衆国空手道連盟の招聘で、強化合宿の指導を依頼されニューヨークとシアトルと回ってきましたので、「カラテ世界事情」として世界の空手界の内容を日本の空手道愛好家の皆さんへレポート致します。
U.S.Aナショナルチームは年間4回ほどの一週間の強化合宿が義務づけられていて、全米大会の各階級上位2名が参加資格があります。大変なのは日本ナショナルと違い、交通費は全て自己負担で参加し、国際大会なども宿泊費共に自己負担です。ただ、全米大会、世界大会に優勝すると報奨金が連盟から出され、選手の励みになっています。何せアメリカ大陸は広いのでニューヨークからシアトルまで7時間も飛行機で掛かってしまうほどなのでなかなか集まることが難しく、苦労しているようです。ナショナルコーチにはスペイン世界大会優勝者のトーキー・ヒル氏、日本人コーチで井垣英治氏が両輪となり、アメリカチームを引っ張っていって、近年、世界大会での上位入賞者、ジョージ小高、ジョン・ファンセコ、バーバラさんなど排出しています。ジョンなどは第1回オープンドパリ大会でトーキー以来の国際大会優勝者でジョージと共に世界も狙える器と思います。
さて、アルバニーにあるオリンピックセンターですが、1936年、1986年に冬季オリンピックが開催された地でカナダ国境近くの、山の中だが素晴らしい環境である。ホテル並みの部屋に15時間食べ放題のレストラン、スポーツドクター、トレーナー、研究室が完備され、運営は全米の企業からの献金で賄っているとのこと。オリンピック強化選手は企業から給料を貰い、このセンターで心ゆくまでトレーニングに励むことが出来るのである。
ひとつ、驚いたことがある。スキー選手が朝練のときに自転車のトレーニングを始めて、カラテの夕方練習が終わるときまで6時間ほどこぎっぱなしで行っていた。もの凄い体力ではないか。また、バレー選手などがすごいパワーで練習をしていて、空手を始めたらたちまち優勝できると思える程である。空手も負けて入られないと(もう負けている)と思いました。
トレーニングセンターは全米にコロラド、サンディエゴの3ヶ所がある。日本にもこんな
本格的な設備のあるセンターが欲しいものだ。ただ、カラテチームもオリンピックチーム
優先で空きがあるときに利用しているとのこと。世界のカラテマンの願いは「オリンピッ
ク参加」だろう。
オリンピック専任トレーナーから、空手界に導入が遅れているプライオメトリックトレーニングを少しであるが学んできたので、最後に紹介しておきたい。爆発的な筋力強化は今からの世界大会でのニュールールを踏まえ大切であると思う。
最後に、シアトルに回り、セーフコーフィールドでシアトルマリナーズのイチローを応援しまして、熱狂的にアメリカ国民に指示されている姿は、日本人として誇らしいものでした。
宿泊ルーム
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食 堂
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