第17回西村誠司組手テクニックセミナー・福岡市立油山青年の家

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第17回西村誠司組手テクニックセミナー指導内容


今回、最新のトップ選手の「動き」「テクニック」をテーマに2004メキシコ世界大会で優れている選手のポイントを拾い出し、身に付ける内容とした。
  1. ステップリズム

    ヨーロッパ選手特有の上下運動ステップは健在で、激しい「動き」が見られた。一見、ただ上下に飛んでるようだと言われる方も居るが、途切れない動きをすることで居付きを防ぎ、前後左右リズミカルに動いている。足の位置を前後にすることで、攻撃パターンが増え、相手にも何時でも対応するべく動きが止まらない。さらに良い選手は、相手にプレッシャーを与え、相手の「出」のところを常時、気先を制している。さらに肘から先の構えに、力みが無いので、入るときも受けるときも手が上がり無駄の無いコースをたどっている。

    日本人の得意とするじりじりと間合いを詰めていく一発集中突きも、世界に行けば中々通用しない。要は相手のリズムに乗るのではなく自分のリズム作りを行うことである。特にUSA二階級制覇したエリサ・アゥ選手は、相手の攻撃を見切り、自分の攻撃だけを相手に合わせて行っており、技はシンプルで少ないが、試合を間合いで制したといえるだろう。

    練習内容 シングルシャドー・パートナースパー・ブロック&アタックスパー・ミットスパー

    まず足の動き(ステップ)を、長時間動く練習を取り入れること。生半可な練習では身に付かないし、動かない動きが、脚力の無い選手には楽なので、居付いてしまう。フリースパーリングの組手時間を増やし、パワー的には20-50%のパワーでやることであろう。ウォームアップとしても使える。特に縄跳びトレは是非取り入れる。特に手を上げての動きに気をつける。
  2. 膝の柔らかさ

    この点が、優れている為に遠い間合いで動き、日本人選手が相手を捕まえられない点である。また、中段蹴り、上段蹴りの間合いでもある。良く、アドバイスとして間合いを詰めて、出鼻を取れといったアドバイスをする。選手もそれにしたがって突っ込んでいくが、上体が泳ぎ、手打ち,あるいは初動が、見えるので逆に出鼻を食らっている。

    膝が柔らかいという事は、対応能力の幅が広いということなので、手足の長いヨーロッパ選手は間合いを動かす事で、相手の詰めをはずし、自分の間合いを探り、一気に入っていく。そのためにも膝の柔らかい動きが必要となっている。特に、前傾姿勢での高速上段突きの使い方がうまい選手がいて、一気に入っては決めていた。相手は反応できない状態で、呆然としている。

    練習内容 飛び込み上段突き・ワンツウー、逆ワンツウー、大幅ステップワンツウー

    上記のステップワーク強化と関連するのだが、日本人の踏ん張る基本動作が、形の演武では必要となっているが、組手では居付きに繋がるのでなかろうか?もっとボクシングの基本動作練習のように、試合そのもので使えるフォーム、動き、スナップ、構え、を練習すべきではと思う。組手上級者のやるべき、組手応用基本動作として考慮して見てはと思う。パンチミット、サンドバック利用して打ち込めばわかるが、連続出来る動作と言うのは、当然動きが止まらない。膝を利用して前傾からの傾斜を利用する。
  3. リラックス

    いかにリラックス出来るか?いかに相手を呑んで、試合の3分間をリードできるか?大切な部分である。日本人は闘志、気迫、充分であるが気負い、空回り、緊張に繋がっている。連続攻撃をするときだけ集中し、間合いをはずしているときの呼吸の仕方・リラックスを研究すべきである。その点では、上位入賞者には独自のムードを作り、間合いを制している選手が多い。

    練習内容 ビデオ研究・イメージトレーニング・指示トレーニング

    リラックスと言うことは、精神が体をコントロールするので、大会必勝と考えるならば、自分の優勝したい大会と同じ雰囲気の大会に、数多く出場し、心と体を大会に慣れさせることである。練習試合では味わえない物が大会にあるという事を再認識する必要がある。前出のステップリズムトレーニングと同じで、力を抜きつつ、極めのところで緩急をつけることが大切で、イメージしながら行う。
  4. 飛びこむスピード

    蹴りとのコンビネーション、足払いでのコンビネーション、回り込むスピード、大きな中段突きなどがある選手のほうが、ステップを使った遠い間合いでの戦い方に有利である。しかし、飛び込むスピードが優れていても、スタートする地点が違っていれば、相手に見切られてしまう。何度も揺さぶって、相手の隙を作り、戸惑いを引きずり出し、飛び込むことをペースとする。

    練習内容 突きと蹴りを間合いを近くから、遠くに切りながら打ち込みをおこなう。

    割合に手足が短い日本人なので、一気に入るやり方は手足の長い、懐の深い外国選手には、有効である。そのためにも、瞬発力強化、強い蹴りを両腕ブロックできる上半身の筋力強化、長い間合いを一気に飛び込める脚力強化が更に必要である。その上で上記の間合い、膝の柔らかさ、などが加味されてくる。
  5. 蹴りテクニック

    上段への蹴り(前足での膝フェイント・後ろ足での膝フェイント・バックステップ裏回し・ワンプラスの回し蹴り)中段への蹴り(ノーモーション蹴り・軸足スライドの蹴り「前」「横」)などの世界大会での多用されているものを拾い出して、披露します。

    練習内容 多用されているキックバリエーション

    国内ルールに文句をいっても仕方が無い事であるが、蹴りテクニックを使っても、過剰反則の罰則、蹴りの極め基準における審判の判断ミス、指導者の出来ない事による指導不足、などで蹴り技術が発達しにくい日本国内大会ルールである。当然、突きだけよりも蹴りとの併用があれば、戦術の幅も増えるのであるから、まずは練習し、習得すべし。
#参加者には覚えるためにも練習ノート持参させてください。

福岡大学 空手道部 監督
西村 誠司


飯出一秀先生紹介と指導内容

学歴

  • 筑波大学大学院修士課程終了(スポーツ医学・整形外科系)

職歴(現在)

  • 東海大学体育学部講師
  • 東洋公衆衛生学院講師
  • 日本健康ビジネス専門学校柔道整復科講師
  • ムービングスポーツ医学研究所・あすなろ整骨院院長

役職(現在)

  • 日本オリンピック委員会空手道医科学スタッフ
  • 日本アンチ・ドーピング委員会DCTO
  • 全日本空手道連盟医科学委員
  • 全日本空手道連盟ナショナルチーム・トレーナー
  • 千葉県空手道連盟理事

空手歴

  • 全日本空手道連盟公認五段・連合会評議員、錬士、六段
  • 元ナショナルチーム(組手−60kg)選手

講義および実技

膝の柔らかさとは?

  • 膝関節の解剖学的特徴
    膝関節の特徴を理解して効果的なトレーニングを行なう。
  • 筋の柔軟性について
    筋の柔軟性には静的柔軟性と動的柔軟性あり、どちらも高める必要性を理解する。
    実技:ダイナミック・フレキシビリティー・ドリル
  • Proprioceptive (固有受容性) exerciseとは?
    足底機能を重視する。上肢筋活動は下肢筋活動の保障下に行なわれる。
    実技:足底筋の強化と効果、バランス・ボードとproprioception
  • 大きな動き作り(ジャンプ)・小さな動き作り(ジャンプ)
実技
  • プライオメトリックス・トレーニング(Box Jumpを中心に)
  • Speed, Agility, Quickness・トレーニング(ドリルトレーニング、ラダ−等)
  • 坂道ダッシュ、階段ダッシュ等、エネルギー供給機構からみたランニング方法