第21回西村誠司組手テクニックセミナー 会場:大分県「湯布院自然の家・ゆふの丘プラザ」

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第21回西村誠司組手テクニックセミナー指導内容


縄跳びトレーニング

 今回、ステップワーク技術をサポートするトレーニングとして、足捌きの向上に役立つのが、縄跳びトレーニングである。ボクシングでは昔から取り入れられ、空手界でもよく練習されている事でしょう。色々な基本と合わせ、動きを伴うトレーニングの紹介と、指導者の指示の元、反応するトレーニングを取り入れた。

また、時間を長くする事によりエアロビクス効果が上がり、心肺機能養成(スタミナ)にも有効である。

■ベーシック(基本)

  1. 両足飛び・片足飛び・膝上げ飛び(各60秒ずつ) - 休み30秒
  2. 二重飛び(両足)・交差飛び ・後ろ飛び(各60秒ずつ) - 休み30秒
  3. 後ろ飛び(二重飛び)・半前屈飛び・逆半前屈飛び(各60秒ずつ) - 休み30秒
  4. 前後左右(両足)・前後左右(右足)・前後左右(左足)(各60秒ずつ) - 休み30秒

■ムービング(移動)

  1. 膝上げ前進・膝上げ後進
  2. 後ろ飛び前進・後ろ飛び後進
  3. 横向き飛び前進・横向き飛び後進
  4. 二重飛び前進・二重飛び後進

■反応(指示トレーニング)

  1. 前後左右の指示にすばやく動く(両足にて)(各60秒ずつ) - 休み30秒
  2. 前後左右の指示にすばやく動く(片足にて)(各60秒ずつ) - 休み30秒
  3. 基本の全ての動きを指示通りに動く - 各60秒ずつ

先の先・後の先など

目的課題:
試合競技に勝利するために戦い方の基本ベースとは何か?
心構えはどうあるべきか?
技術は何を身に付けるか?

■心構え

指導者の熱意、想いがいかに強くあり、選手との意志疎通が大切。 弱点を見つめ直し、長所を伸ばす指導。 根性連呼だけの長時間指導ではなく、近代トレーニング理論の 獲得。 選手をいつも自己改革、自己管理できる様指導し、一番大切な選手自身に対する自信・信頼を持たせることである。

選手へ:自信を作るためには他の選手と同じ練習では出来ないと思い、創意工夫し、実行する熱意があるかである。

■戦い方の基本ベース

『先の先』

攻める瞬間はどうしてもガードが甘くなりやすい。そこをすかさずとらえるカウンター攻撃が大切。 余裕があればお互いに正面からぶつかり合うのでなく、相手の正中線をとらえながら、自分の正中線を有利なポジションに置くのがベスト

●練習テクニック

攻撃選手 左刻み上段突き、右中段突き、左上段回し蹴り、右中段蹴り、ワンツー

「先の先」技にて対応
戦闘態勢をあたためることなく、常にプレッシャーをかけ、相手の攻防を瞬時に判断して、相手より早く自分の技を極めること。

●ポイント

最初から受けに回らないこと。
押して、押して行くリズムでなくては「先の先」は捕らえられない。
相手の懐に入るこつが掴めれば安全地帯といえる。
顔を打たれないように逃げるから逆に打たれるのである。
自信・気迫・闘争心を全面に出す。

『先』

「先」を捕ると言うことは、受けと攻撃が(攻防一体)同時であることである。
さらに欲を言えば斜めから相手の正中線を 攻撃できるようにする。

●練習テクニック

攻撃選手 左刻み上段突き、右中段突き、左上段回し蹴り、右中段蹴り、ワンツー

「先」の技にて対応 「崩し」技を二つ紹介。
気構えは「先の先」と同じである。
常にプレッシャーを掛けていき、押していかなければ、相手の技に対する判断が出来にくい。
大抵の攻防は相手の技に会わせてよーいどと行っていて受けがおろそかになっていることが多い。
せっかくの決め技を受けとに発揮できれば勝率がぐんと上がるに違いない。
何度も「受けつつ攻撃」を根気よく繰り返し、相手の懐、相手の外側、のポジションを捕ることを心掛ける。

●ポイント

どの技にも言えることだが、自分が安全地帯にいて勝つ技など無い。
「先」テクニックは相手の技をギリギリまで引きつけるだけの動体視力も必要である。
相手の技のラインを少しでもずらしていくことから始めて、受けと同時に攻撃が出来るようにして貰いたい。

『後の先』

「後の先」とは、相手の裏をとり、最高のポジションで技を返し極めることである。それには相手に技を出させなければならないが、これは「先の先に」つながる。あくまでも気力・気迫で相手を押していくことが重要なのである。

●練習テクニック

攻撃選手 左刻み上段突き、右中段突き、左上段回し蹴り、右中段蹴り、ワンツー

「後の先」の技にて対応「崩し」技を二つ紹介
「後の先」では相手の技が事前に分かるようになれば(突きなのか、蹴りなのか)ベストだが、相手の心をリードする、「先の先」の気位が必要である。
相手を詰めていくことが出来るから相手の「裏」を捕れるのである。

●ポイント

受けるからといって相手の攻撃を待っているだけでは、絶対にやられてしまうので、気持ちで相手を圧倒し、相手に技を出さざる得ない間合いまで詰めることが大切。

ステップトレ・バリエーションテクニック

1.ステップリズム

ヨーロッパ選手特有の上下運動ステップは健在で、激しい「動き」が見られた。一見、ただ上下に飛んでるようだと言われる方も居るが、途切れない動きをすることで居付きを防ぎ、前後左右リズミカルに動いている。足の位置を前後にすることで、攻撃パターンが増え、相手にも何時でも対応するべく動きが止まらない。さらに良い選手は、相手にプレッシャーを与え、相手の「出」のところを常時、気先を制している。さらに肘から先の構えに、力みが無いので、入るときも受けるときも手が上がり無駄の無いコースをたどっている。

日本人の得意とするじりじりと間合いを詰めていく一発集中突きも、世界に行けば中々通用しない。要は相手のリズムに乗るのではなく自分のリズム作りを行うことである。特にUSA二階級制覇したエリサ・アゥ選手は、相手の攻撃を見切り、自分の攻撃だけを相手に合わせて行っており、技はシンプルで少ないが、試合を間合いで制したといえるだろう。

練習内容 シングルシャドー・パートナースパー・ブロック&アタックスパー・ミットスパー

まず足の動き(ステップ)を、長時間動く練習を取り入れること。生半可な練習では身に付かないし、動かない動きが、脚力の無い選手には楽なので、居付いてしまう。フリースパーリングの組手時間を増やし、パワー的には20-50%のパワーでやることであろう。ウォームアップとしても使える。特に縄跳びトレは是非取り入れる。特に手を上げての動きに気をつける。

2.膝の柔らかさ

この点が、優れている為に遠い間合いで動き、日本人選手が相手を捕まえられない点である。また、中段蹴り、上段蹴りの間合いでもある。良く、アドバイスとして間合いを詰めて、出鼻を取れといったアドバイスをする。選手もそれにしたがって突っ込んでいくが、上体が泳ぎ、手打ち,あるいは初動が、見えるので逆に出鼻を食らっている。

膝が柔らかいという事は、対応能力の幅が広いということなので、手足の長いヨーロッパ選手は間合いを動かす事で、相手の詰めをはずし、自分の間合いを探り、一気に入っていく。そのためにも膝の柔らかい動きが必要となっている。特に、前傾姿勢での高速上段突きの使い方がうまい選手がいて、一気に入っては決めていた。相手は反応できない状態で、呆然としている。

練習内容 飛び込み上段突き・ワンツウー、逆ワンツウー、大幅ステップワンツウー

上記のステップワーク強化と関連するのだが、日本人の踏ん張る基本動作が、形の演武では必要となっているが、組手では居付きに繋がるのでなかろうか?もっとボクシングの基本動作練習のように、試合そのもので使えるフォーム、動き、スナップ、構え、を練習すべきではと思う。組手上級者のやるべき、組手応用基本動作として考慮して見てはと思う。パンチミット、サンドバック利用して打ち込めばわかるが、連続出来る動作と言うのは、当然動きが止まらない。膝を利用して前傾からの傾斜を利用する。

3.リラックス

いかにリラックス出来るか?いかに相手を呑んで、試合の3分間をリードできるか?大切な部分である。日本人は闘志、気迫、充分であるが気負い、空回り、緊張に繋がっている。連続攻撃をするときだけ集中し、間合いをはずしているときの呼吸の仕方・リラックスを研究すべきである。その点では、上位入賞者には独自のムードを作り、間合いを制している選手が多い。

練習内容 ビデオ研究・イメージトレーニング・指示トレーニング

リラックスと言うことは、精神が体をコントロールするので、大会必勝と考えるならば、自分の優勝したい大会と同じ雰囲気の大会に、数多く出場し、心と体を大会に慣れさせることである。練習試合では味わえない物が大会にあるという事を再認識する必要がある。前出のステップリズムトレーニングと同じで、力を抜きつつ、極めのところで緩急をつけることが大切で、イメージしながら行う。

4.飛びこむスピード

蹴りとのコンビネーション、足払いでのコンビネーション、回り込むスピード、大きな中段突きなどがある選手のほうが、ステップを使った遠い間合いでの戦い方に有利である。しかし、飛び込むスピードが優れていても、スタートする地点が違っていれば、相手に見切られてしまう。何度も揺さぶって、相手の隙を作り、戸惑いを引きずり出し、飛び込むことをペースとする。

練習内容 突きと蹴りを間合いを近くから、遠くに切りながら打ち込みをおこなう。

割合に手足が短い日本人なので、一気に入るやり方は手足の長い、懐の深い外国選手には、有効である。そのためにも、瞬発力強化、強い蹴りを両腕ブロックできる上半身の筋力強化、長い間合いを一気に飛び込める脚力強化が更に必要である。その上で上記の間合い、膝の柔らかさ、などが加味されてくる。

5.蹴りテクニック

上段への蹴り(前足での膝フェイント・後ろ足での膝フェイント・バックステップ裏回し・ワンプラスの回し蹴り)中段への蹴り(ノーモーション蹴り・軸足スライドの蹴り「前」「横」)などの世界大会での多用されているものを拾い出して、披露します。

練習内容 多用されているキックバリエーション

国内ルールに文句をいっても仕方が無い事であるが、蹴りテクニックを使っても、過剰反則の罰則、蹴りの極め基準における審判の判断ミス、指導者の出来ない事による指導不足、などで蹴り技術が発達しにくい日本国内大会ルールである。当然、突きだけよりも蹴りとの併用があれば、戦術の幅も増えるのであるから、まずは練習し、習得すべし。