2019年 新年のご挨拶

全日本空手道連盟和道会・会長 飛鳥 宗一郎

会員の皆様、明けましておめでとうございます。今年も輝かしい一年となるよう切に期待いたしております。

私は高校3年時の7月に某大学の空手演武を観て感銘を受け、『生涯続ける武道はこれだ』と思い込み、その思いのまま今日に至っている。

さて武道について、日本武道協議会が制定する「武道の定義」には『武道は、武士道の伝統に由来する日本で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、心技体を一体として鍛え(後略)』とある。次いで「武道憲章」第1章には『武技による心身の鍛錬を通じて人格を磨き、識見を高め、有為の人物を育成することを目的とする』と明記されている。

武道種目の共通事項として、武技を教わったから即応用可能はあり得ず、直ちに護身に役立つものではない。

武道の稽古は、長年の辛苦を重ねて心技体を練り、確固たる自分自身を築き上げるのを道筋とするから、稽古場においても己の人格とその責任において行動しなければならない。それらは試合の場面でも必須の要件となる。

また、修錬とか鍛錬の意味は、単に身体操作の巧みさを獲得する目的で行動するのではなく、自己の人間性涵養に全面的に係ると心得え、倦まず弛まず継続する決意が必要となる。

空手道の利点として喧伝される事柄に、一人稽古ができる、場所を選ばない、老若男女体質体型を問わず何時からでも開始できるなどがある。正に、生涯武道に最適ではないか。

身に着いた武技は一生もので、私の場合なら高校の部活動で教わった柔道の技法や受身技が今も身体の何処かに残っている。

一方、武道と対比されるスポーツでは、「スポーツ憲章」第2条にスポーツマンシップやフェアプレー精神とともに『自らスポーツを行うことに意義と価値を認め、常に品位と名誉を重んじ、(中略)継続的にスポーツの楽しさや喜びを味わう』とある。 昨今の武道競技を見る限り、武道とスポーツの垣根は希薄になりつつあるが、それぞれの有意性を受容する寛容さがあってもいいように思う。

私の座右の銘は、『 (たお)れて後() む』(出典は礼記/表記)である。又日々の稽古は、柳生石舟齋が家訓として残した、『他流(に)勝つに非ず。昨日の我に今日は勝つべし』の気概を肝に念じて道場に立つ。

今年8月には「2025和道会ワールドカップ大会」が日本武道館を会場に開催される。大会の成功を皆様とともに祈ろう。

全日本空手道連盟和道会・理事長 佐野 善紹

和道会会員の皆様、新年、明けましておめでとうございます。

昨年は能登半島地震、大雨、猛暑など全国各地で多くの自然災害が発生し、皆様も大変な一年を過ごされたことと思います。今年は災害が少ない一年となることを祈りつつ、良いスタートが出来れば幸いです。

2025年はいよいよ夏に世界大会が控えております。国内の準備も役員の皆様のご尽力で忙しい日々が続いておりますが、選手のコンディション作りや指導者の教育においても和道会全体が一致団結して取り組んでまいりますように、お願い申し上げます。

各地区で開催される技術講習会や指導員講習会の施設借用が困難な状況にあっても、充実した和道の技を広めていくために、皆様とともに力を尽くして参りましょう。今年はさらに海外への普及を目指し、年に一度以上の派遣を行って、世界の和道会の会員を増やしてまいりたいと思います。技術委員の皆様にはその点を節にお願い申し上げます。

また、自由組手や基本組手は和道の伝統的な技術であり、良き指導者がおりますので、一緒に広めてまいりましょう。

一般社団法人の認証も受け、今年度の活動により様々な支援が期待されますが、私達執行部が率先して活動してまいります。見えないところを頼るのではなく、自らの足と頭を使って支援をして頂くことが、今後の和道会の役員の重要な仕事と考えております。全役員の役割を明確にし、少しでも和道会の発展に貢献できる執行部を目指します。

和道会の皆様および関係諸氏に年頭のお願いです。より豊かな和道会を育てていくために、皆様のご協力をお願い申し上げます。本年も和道会の役員および各支部、会員の皆様の益々のご健勝、ご活躍、ご多幸を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。