スイス代表エレナ・クリッチ選手の闘い
TOKYO2020オリンピックに、和道会所属の西村拳選手とスイス代表のエレナ・クリッチ選手が出場を果たしました。
エレナ・クリッチ選手は、女子組手61kg超級に出場。善戦しましたが、予選リーグ第3位となり、あと一歩、準決勝進出は叶いませんでした。エレナ選手の闘いについて、空手の師範でもあるお母さんからの報告です。
各国を転戦、夢のオリンピックへ
空手指導者の娘として生まれたエレナは、物心ついたころから稽古を始め、現在、和道会三段位です。エレナは週6日、1日4時間の空手の稽古と、筋力・持久力のトレーニングを行っています。
2018年から始まったオリンピックの予選シリーズでは、仕事を辞めて空手に専念し、世界中を転戦し、オリンピックスタンディング(OS)のポイント獲得に努めました。これは肉体的にも経済的にも負担が大きいものでした。
2019年からは期間を区切って、トレーニングパートナーがいるスペインに居住しています。
新型コロナウイルス感染症拡大で移動が制限されると、スペインに戻ることができなくなりました。スイスの道場とフィットネスセンターも閉鎖されたため、高齢者に食事を提供する組織で働きながら、自宅の居間と庭で練習を続けました。
予選シリーズが再開され、OS対象大会となった2021年4月開催のPLリスボン大会で準優勝し、オリンピック出場権を手にしました。
私たちはとても幸せでしたが、TOKYO2020オリンピックの開催は危ぶまれていました。日本国内からも中止を求める声が出ているという報道が連日あり、精神的につらい日々を過ごしました。
オリンピック閉会式でスイスの旗手に
新型コロナウイルス感染症の脅威は理解できます。そのような中で、訪日が許可されたとき、非常に感謝しました。オリンピックに出場するという素晴らしい経験ができるのです。
日本には以前にも訪れたことがあり、日本人が親しみやすく礼儀正しいことは知っていました。
オリンピックでも日本人スタッフは驚くほど思いやりが深く、とても楽しい経験をさせていただきました。エレナはオリンピックで目指していたメダルには届きませんでしたが、彼女の勇敢な闘いにとても満足しています。
オリンピック閉会式で、スイスの旗手を務めたことはとても光栄でした。
日本から帰国して1週間後には稽古を再開、日本で開催される和道会ワールドカップでベストを尽くせるように備えています。
次回の訪日では、今回、会えなかった友人たちとの再会やトップ選手と一緒に稽古することが実現すると思います。今度こそ、親子揃って訪日できることを楽しみにしています。
お母さんとエレナ選手(右)
お母さんとエレナ選手 その2
各国を転戦、厳しい闘いを勝ち抜いて得たオリンピック出場権でした