2006ドイツ国サマーキャンプinラベンスブルグ

和道会指定選手派遣・合宿日誌

ドイツ遠征 8月10日 ―マスターカップ当日―

(株)エヌケーシー 松久 功

 この日は9:00からの練習はKJC道場でグンター・モア先生の授業。まずフットワークを取り、突き蹴りの準備運動。その後は、コンビネーションの練習。なぜか少し体が重い・・・。昨日のパーティーで帰宅時間が少々遅かったからか・・・。しかしながら本日はマスターカップ当日。汗さえ流せば軽くなると思い必死に動いた。その甲斐あってか滝のように流れてくる汗で途中幾分か体が軽くなった。

もう少し動こうと思った瞬間、Yame!!の合図が掛かり、参加者が端に掃けだし、それにつられて日本チームも掃けた。グンター・モア先生が何か話しているが、英語の理解力がない日本チームはキョロキョロするばかり。しばらくすると周りの雰囲気で試合だと気付く。呼び出されたのは日本の白土選手。マスターカップの予選のようで、試合が開始された。一試合目延長線の末、負け。二試合目は相手に中段蹴りや逆突きで勝ち。三試合目は延長戦の末、負け。あまりよい結果ではなかったが、マスターカップには参加できるようだ。

試合終了後またしばらくコンビネーション練習をし、次の授業に向かうべく15分前に抜け出そうとしたところ、モア先生に止められた。マスターカップに参加するための書類を書かないといけないらしい。男性陣は残り、女性陣は次の授業向かうため、ここで別れる事となった。

練習が終わり、インドネシアの選手の手助けを借りながら、書類を書いた。書類提出後、打ち合わせに入り、英語ばかりが飛び交う中、必死に五感を研ぎ澄まし聞き取る努力をした。わかったことは、集合時間は19:00で試合は20:30スタート、参加者は12人と言う事位だったが、要点は聞けた気がした。予定では次の授業も受ける予定だったが、時間がなくなってしまったので早めの昼食をとる事にした。

男性陣はマスターカップに備え、午後は休息。汗が流しきれてなかったので、施設にあるサウナで汗を流し、リラックスをした。驚いたことにドイツのサウナは男女混合となっており、環境の違いに多少戸惑いながらも大量の汗を流した。サウナから出て、マスターカップに備え睡眠をとる事にした。

アラームで目が覚め、時計を見ると出発30分前。準備をして5分前に集まり、現地の方の車に乗り込みKJCを後にした。会場に到着し、会場内を見渡すと薄暗くショーのような雰囲気だった。試合開始まで一時間ぐらいだったので、白土選手と2人でアップを始める。アップ途中で、アナウンスが流れショーがスタートしたが、隔離されている控え室からはほとんど見ることができなかった。そんなこんな言っているうちに試合の召集が掛かった。

2試合目に白土選手、4試合目に自分が出ることとなり、まずは白土選手の試合。相手は地元ドイツの選手で身長は190cmくらい。試合が始まり、果敢に攻めるが間合いが遠く、相手のペースに飲まれてしまって結果は8−0。初めて自分が外国人選手と戦ったときのことを思い出した。三試合目が終わり、次は自分の試合。アナウンスで呼び出されコート端に立った。相手はドイツの選手だが、年下のようで身長も同じくらい。コート内に入り一礼し、試合はじまった。

今回試合で使用されるマットはロウが塗ってあり滑りやすいため、急遽重心を上げた状態で試合をする事にした。スロースタータの自分だったが今回は相手の動きも見えていた。一回戦の作戦として、観客を味方につける事により試合の進め方が有利になるため、派手な技を出して勝とうと思い、最後に回転裏回しを出した。少々浅いかも知れなかったが1本となり、結果8−0。二回戦はインドネシアの選手。この選手は小柄で動きも見えていたため蹴りなどでポイントを重ね9−1。三回戦はドイツの選手。前の試合を見たところ、蹴りを得意としている選手だったが、蹴りを出す前に一呼吸間がある様に感じたのでそこを狙うように心がけた。思惑どおり、モーションがあったため、出合いのポイントを重ね、11−3。次は決勝。相手は一回戦で白土選手と対戦したドイツの選手。見た感じリーチもあり、上からついてくる被せ突きだったため、滑りやすい事も考慮するとさらに上へ被せる方法か、下にもぐる中段突きをしようと作戦を立てた。

呼び出しのアナウンスが始まると悪者をとっちめろと言わんばかりのドイツ選手への応援。コート端から身振り手振りで日本チームに応援を要請した。ただ異国では逆境の方が面白い。Hajime!!の声でアウェーでの試合が始まり、少し様子を見ると、相手が間合いを詰められるのが嫌っているのか、目を見ても狙っている感じの覇気は感じられなかった。試合の中で一度試しに中段突きを合わせる事とし、実践した。やはりある程度もぐる形で突きを決めれば決まることが判明したため、中段絞って試合を進めた。最後はカウンターの裏回し蹴りが入り試合終了。結果は7−2、優勝することができた。やはり優勝は気持ちがいい。閉会式が始まり、表彰台の上に立ったとき、10月の世界大会も階段をあがり、てっぺんに立つことを誓った。表彰式が終わり日本チームで写真を撮った。いろいろな人に声を掛けていただき、自信につながったとともに、勝ってかぶとの緒を締めよという言葉が頭に飛び込み、反省点を振り返った。

日本チームは食事に出かけるため車で店を探しまわったが、時間はすでに11時過ぎ・・・。やってそうな店を探し、入店したが、ドリンク注文後食事はラストオーダーが過ぎていることに気付き、店を後にする。KJCへ戻り、冷蔵庫にあるもので空腹を満たし、新たな準備に取り掛かる。そう、打ち上げパーティー(ディスコ)である。日本では一度も行ったことのない未知の世界だったが、完全にはまっていた。ディスコでもチャンピオンになる意気込みと日本人の誇りを胸に戦場へ向かった。