いよいよ夏本番! 全国大会やワールドチャンピオンシップ2002を始め、各地で様々な大会が目白押しです。各道場でも本番に向け、稽古にも熱が入っていることでしょう。今回は、前回の北海道から南下し、宮城県志田郡松山町にある「和道会松山支部」の皆さんの登場です。
「和道会松山支部」がある松山町は、宮城県のほぼ中央に位置し、緑豊かな自然と歴史的文化に恵まれた「花と歴史の香るまち」です。
まず訪れたのは、現在の練習場所である松山町B&G海洋センター。入り口正面には、海洋センター創立者である笹川良一先生(元全日本空手道連盟会長)の写真が飾られています。2階武道場に上がると、支部長の松本善雄先生始め、既に道衣姿の先生方に出迎えられました。『和気あいあい』という言葉がピッタリ、とても気さくで楽しい先生方でした。
七時、ウォーミングアップ開始。取材に訪れた6月中旬は、日本全土がサッカーワールドカップに熱狂してる最中。「あまり選手が集まらないのでは?」との心配をよそに、続々と子供たちが集まり、空手稽古に励みます。その中で、一際気合いを込めて稽古に励むのは、何といっても松本善雄先生です。今年で御年66歳だそうですが、その集中力や軽い身のこなしはとても還暦を過ぎているとは思えません。蹴り稽古では驚くほど高く脚を蹴り上げ、約束組手も俊敏な動きでこなし、気迫のこもった大きな声が武道場中に響き渡ります。
和道会松山支部が誕生したのは昭和39年、松本先生が「空手をやりたい」という志願者を集め、稽古をつけたことに始まります。それから今日まで、入門希望者は全て〃クチコミ〃で増えていったといいます。入門募集を呼びかけたことは一度もないのだそう。「クチコミだけなんですか?」とお尋ねすると、「昔から空手稽古だけではなく、子供の教育も大切にしています。その考え方に賛同してくれる親御さんはきちんと聞きつけて来てくれますね」とのお答え。一日の挨拶はもちろん、稽古前後の武道場の掃除はみんなで行います。さらに、昭和61年にスポーツ少年団加入後は地域ボランティアにも力を注いでいます。それもこれも、「町からかなり離れた練習場まで、週2回、稽古のために子供の送り迎えをしてくれるご両親の協力があってこそ」とのこと。さらに、「これらは笹川良一先生の教えでもあります。しっかりした教育精神を保ち続けることは、この武道場を使わせて頂いている笹川先生への〃恩返し〃だと考えています」と松本先生はゆっくりと語ります。
将来の目標を尋ねると、先生方全員、「う〜ん」と首を傾げ、「特にないなぁ、今が一番!」と愉しげに声を揃えます。確かな信念を貫きながら、マイペースに空手稽古に励み、揺るぎない土台を築き上げた今、それを楽しんでいる先生たちの本音が「今が一番!」という言葉に表れているようです。「脚が上がらなくなったら引退」という松本先生ですが、その日はずっと先の話になりそうです。
|